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KAYANOのイタリア気分 No.14

2003年2月号

オリーブオイルとの出逢い

地中海式ダイエッターの決心が鈍らないうちに、今月はオリーブオイルのお話です。と言っても、コレステロール値を下げる不飽和脂肪酸のオレイン酸が多いとか、若さを保つのに有効なビタミンEが含まれているとか...。栄養学が専門でない私には難しすぎるので、そちらは専門家に任せるとして、いうならオリーブオイルの出逢いと思い出って感じです。

私が日本で使い慣れてきた油は、大豆油,コーン油,菜種油,ひまわり油,ゴマ油等、殆どが種子から作られたオイル。色が濃く香りの強いゴマ油は別として、その他は私の中では「サラダオイル」という同じ油で、材料別に香りや味の区別が全くつかなかった。料理によって使い分けるなんて思いもよらない事だった

そんなオイルへの認識から、イタリア料理を始める前の私は、オリーブの実から絞られるオイルに関しても原料の違う「オイル」の一つだと思っていた。しかし本物のオリーブオイルに出逢ってから料理における「オイル」に対する認識が全く変わってしまった。スープにオイルを落とすとか、パンにオイルを浸けて食べるとか、料理の仕上げに加えるとか、オイルを調味料として使うことはイタリアで教えてもらったことだ。と言ってもイタリアで料理学校に通っている時も、しばらく生活しても、長い事そのこの魅惑的な緑の液体の魅力に気がつくことはできなかった。初めの頃は「イタリアのオイルは香りがあって、色が濃いな。」くらいだったと思う。

リグーリアのオリーブ畑

魅惑的なオリーブオイルとの出逢いが始まったのは、イタリアでの生活にも余裕が出て来て、各地を旅するようになってからのこと。リグーリア州 5つの集落の集まったチンクエッテレを旅行した時の事だった。村のオステリア(食堂)でズッパディペッシェ(魚のスープ)を頼んだ時のこと、料理と一緒に、瓶に入ったかすかに濁った緑の液体が出て来た。お店の人に「少し入れてごらん!」と言われるがままに加えてみると、なんとも言えない芳香な香と共に、魚のうま味が引き立てられた。「このオイルどこで買ったの?」と聞くと、「家の裏山で採れたんだ。手絞りだよ!」と自慢話しが始まった。

後で知った事だが、リグリーアのオイルは山がちな地形のせいで、量産は少ないながら、繊細さはイタリアでも有数だそうだ。地中海からの温かく乾燥した風がこの急傾斜のオリーブ畑に吹き付け、他の土地では真似のできないオイルに仕上がるに違いない。

トスカーナの優雅なオイルも忘れられない。トリノの学校に居た時に、キャンティの醸造家として名高い「ルフィーノ社」の招待を受けた時の事だ。食事の時にパネショッコと呼ばれる塩無しのトスカーナパンとキャンティ畑産のオリーブオイルに岩塩を加えた物が出て来た。浸して食べると、繊細な香りが口一杯に広がった。フルーティーなオイルに初めて出逢った瞬間だった。土壌にも気候にも恵まれたオリーブは、きっとエトルリア時代からこの土地に根付き、その歴史を物語るように深く、ルネッサンス発祥地にふさわしく優雅で華やかな香りだった。あの時の私は風光明美な景色と共にトスカーナの上品なオイルにまで恋をしてしまったようだった。

プーリアのオリーブ畑にて・・・

さらに南下して行くとオリーブオイルには、南イタリアの大地に照りつける太陽の味が加わるような気がする。量産も北や中部イタリアと比べる事が出来ないくらい多い。具体的にはカンパーニャ州,カラブリア州,プーリア州,シチリア州の4州が大きなウエイトを占める。

4州の一つプーリアの赤土から産出されるオイルは渋さの中に辛みと、複雑な香りが加わる。中部イタリアのレストランで研修をしていた折、毎週末にプーリアから訪れるお客様が運んで来てくれたオイルは、何かを混ぜたように深くにごり、咽腰が辛かった。

ペペロンチーノ(唐辛子)でも入っているのかと思った程だ。その強烈なオイルの味に誘われるように、その後私は何度もこの地を訪れた。プーリア産の味わい深い小麦粉で作られたパスタに絡めるとそれだけで、余計な調味料はいらないほどだ。特産のドライトマトの凝縮された酸味と味に負けないどころか、相乗効果で味を引き立ててくれるインパクトを持ってる。

そしてシチリア州のオイルには香り・渋み・辛みが共に主張しあう、不思議なバランスを感じる。地中海の交差点と呼ばれ、侵略の歴史が繰り返された大地からは、相反するものを尊重し融合する味が生まれるのだろうか?フェンネルなど強い香りのハーブを多様した魚料理や味とアクの強いナスやピーマンなどの野菜を使ったシチリア料理を引き立ててくれる。どれも、その地方の物も気候・風土を現し、その土地の料理にピッタリ来るから不思議だ。

イタリアのオリーブオイル栽培は紀元前1世紀頃から始まり、以降ローマ人によって移植・栽培が盛んに勧められたという。 イタリアの歴史と共に、オリーブの木はその大地に根付いて来たことになる。EU諸国の中では、イタリアはスペインに次ぐ大量生産国に位置する。その8割が南イタリアで製産されている。イタリア人の一人当りの年間消費量は平均12リットルだそうです。自慢ではないが、地中海ダイエッターの私は軽くクリアーです。なんせオリーブオイル以外の油は揚げ物くらいにしか使わないのですから......。

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