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KAYANOのイタリア気分 No.15

2003年3月号

炎のお酒 グラッパ

今月は「地中海ダイエット」と全く関係のないグラッパのお話です。

グラッパとは、ワインを作る時に出るブドウの搾りかす(皮や種子や枝)を醗酵させて蒸留したお酒です。アルコール度は40~60度 と言う事でまさに炎のお酒です。イタリアのブランデーと言う人もいますが、フランス程ではないにしろ、イタリアでもワインを蒸留したブランデーは作られて来たでしょうから、それを口にできなかった人達が作って飲んできた「庶民のブランデー」日本で言えば「焼酎」と言うところでしょうか。ブランデーの様に繊細な香りの高さには欠けるものの、野生味のある独特な癖がたまらなく好きな人は多いのでは?日本でもイタリアンブームと共に人気急上昇だそうです。

街が見渡せるブレンタ川のほとりにて。

グラッパという名前には二つ説があるそうだ。ひとつはブドウの房という意味のグラッポロ(Grappolo)から来た説、もうひとつはベネト州の「バッサーノ デル グラッパ」の街の名前に由来していると言う説。

確かに、搾りかすのを醗酵させるのだから、グラッポロ説も有力だ。場所によっては、グラッポロのことをグラッパと呼ぶそうだし.....。 バッサーノ デル グラッパはグラッパ山の梺で、グラッパ造りが盛んなだけにこちらにも説得力がある。

街の食料品屋さん。
棚にはグラッパがたくさん。

後者の由来とされるバッサーノ デル グラッパは、ヴェネチアから車で1時間位の街だが、私も春と秋に一度ずつ訪れたことがある。ブレンタ川のほとりの中世の雰囲気が漂うシックな街だった。15世紀から18世紀までベネチア共和国の支配下に置かれたこの街には、ベネチアの貴族や裕福な商人の別荘が多く残っている。確かにどこかに気品があふれ、センスの良い町並みだった。

街のバールではグラッパがショットで楽しめる

街の名前が由来であるのを主張するように、街角の店々には数えきれない種類のグラッパが並んでいた。ベッキオ橋のたもとにあるグラッパ屋さんではをショットで楽しむ事が出来た。グラッパのほろ酔い気分と、澄んだ空気の美味しさ、また、観光客の多いベネチアから訪れたせいか、ゆったりとした時間を過す事が出来た。 あの静かな街が炎のお酒を生み出したなら、その違和感がおもしろい。

いろいろなグラッパのボトル

グラッパは元々は北イタリアで作られてきた。冬の寒さには強いお酒が必要だ。今ではイタリアじゅうで作られている。 色は透明なイメージだが、黄色味を帯びたもの、琥珀色に輝くものと様々だ。オークやサクラなどの木樽で熟成がかもし出す香りと深い色は見つめているだけでほろ酔い気分が訪れる。 最近は単一ぶどうで造られることも多いらしい。

よくバローロのグラッパや、スーパートスカ ーナワインのサッシカイアやオルネライアのグラッパなど、高級ワインのグラッパに出くわす。確かに高級品は香がすばらしくグラッパというよりはブランデーに近い物もある。また、個性的なビンや、クリスタルガラスに入ったグラッパも人気だ。食後酒として飲む事が多いが、コーヒーの香とも合うので、食後にグラッパ入りのエスプレッソを楽しむ人も居る。

グラッパには他にハーブやフルーツで香りを付けた物もある→

ブルーベリーのグラッパともものグラッパ

そのフルーツグラッパで忘れられない思い出を最後にひとつ....。

アドリア海の近くのレストランで研修をしていた時、夏の間お客さんの多い日には深夜1時位迄仕事が続いた。床に着くのは2時頃になるのだが、そんな時オーナーが厨房の皆に缶ビールを1本づつ持って来てくれる。「これでも飲んでぐっすり眠りなさい。」ということだったのだろう。「Kayanoはこれだよね。」と小さなグラスと冷凍庫から出したてのブルーベリーのグラッパを持って来てくれた。一度試したら痛く気に入り、それから私のお気に入りのお酒になった。キンキンに冷えたアルコールとブルーベリーの酸味と香りが何とも言えず眠りを深めてくれる。 秋になりそのレストランを去る日、オーナーが「お土産だよ、日本で飲みなさい」とくれたのが、1本のブルーベリーのグラッパだった。日本に戻ってからは過酷な労働の日々を思い出しながら、大切に飲んだ。最近インターネットで捜したら手に入れる事が出来た。炎のグラッパに織り込まれた、酸味と香りを楽しみながら、あの夏の日々の思い出に酔いしれたいと思っている。

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