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KAYANOのイタリア気分 No.21

2003年9月号

初めて出会ったリコッタ作り!

ホエー(乳清)にミルクを加え混ぜています

「チーズを作り始めるからすぐ来て!」っと午前のレストラン研修を終えてゆっくりランチをしている私達にコーディネーターから電話が入り、ドライバーが呼びに来たのは突然の事でした。朝確認したスケジュールには「午後、郊外のチーズ農家」とありました。まだ時計は1時を少し回った所。南イタリアで午後と言えば3時過ぎと思っていたし、目の前にはできたてのパスタが湯気を立てています。あわてて平らげて30分程車を飛ばして着いたのは、小さな店構えのカセイフィチョ(チーズ農家)でした。1歩入るとむせ返るようなミルクの匂い。大きなお鍋からは湯気が盛んに上がっています。中では御夫婦と娘さんの3人が大忙しで、リコッタチーズを作っているのでした。ちょうど娘さんがお鍋をかきまぜ、温度を一定にしているところでした。そして浮き上がってきたふわふわのチーズを家族総出で、タイミングよくプラッチク製のカゴに詰めていくのです。

このさっぱりとした味わいのフレッシュチーズは、ムースなどの前菜に、ラビオリなどのパスタの詰め物に、ドルチェのクリームにとイタリアンでは大活躍です。新鮮なものならブラックペッパーをかけただけで十分美味しくいただけます。

約80度になるとリコッタチーズが浮き上がってきます

以前から一度作る行程を見たいと思ってたのですが、中々そのチャンスは訪れませんでした。その理由はチーズを作る行程を説明すると解っていただけると思います。

リコッタはチーズを作った後に余った透明の液体「ホエー(乳清)」を利用して作ります。まだ酵素が働いているホエーの中に新たにミルクを入れて火にかけ、約80度の温度に達した時に浮き上がってきたふわふわの塊を手早くカゴに集め、自然に水切りしたフレッシュチーズです。(リコッタには再び煮たという意味があります。)

手早くプラスチックのカゴに入れます

リコッタは熟成タイプチーズを作る所ならどこでも作ることが出来ます。がしかし、チーズを作り終わって数時間でこの作業をしなくてはならず、どこの地方でも作っている訳ではないのです。以前エミリアロマーニャ州のパルミジャーノレジャーノの工場を訪ねた折に聞いた話しですと、チーズを作った後は、ホエー(乳清)は豚に飼料として与えているとのことでした。その豚達がピンクの肉質に育ち、あのパルマの生ハムの原料になるわけです。

短いイタリア滞在期間中、いつもチーズを求めている訳でも無く、地方によってスタイルが違うので、出くわすのは極めて低い確率だったのです。

カゴの大きさは様々です。
こんな長いリコッタチーズも.....。

日本に入って来ているリコッタチーズは北イタリア産の牛乳で作ったものが大半ですが、このチーズは元々は南イタリアで羊乳を使って作られてきました。その後、合理的に出来る上に美味しいので、その製法が北に広まっていったのです。でもここは羊王国カラブリア。目の前にあるのはもちろん本家本元の羊のリコッタです。

お鍋の下では薪をくべています。

外に回るとお鍋の下では薪がくべられていています。ちょうど昔のお風呂の様です。昨年訪れたバッレダアオスタの山奥でさえミルクを温めるのにガスを使っていました。便利で新しい物をむやみに取り入れるのでなく「昔からの道具を大切に使い続けている」。そこもさすがカラブリアです。湯気をたてる熱々のリコッタを初めて食べました。もちろん美味しいのですが、ちょっと乳脂肪の落ち着きが悪いかな?持って帰って次の日の朝、はちみつをかけていただいたのは最高でした。

「こんなことなら、初めから見るために時間を調整してくれればいいのに!」っとコーディネーターに言うと「今日はミルクがいつもより早く集まったそうで、チーズの都合だよ!」っと一言。確かに私達のためで無く、動物相手の仕事だからしかたないと、今まで見るチャンスに出会えなかった私は、やけに納得して返す言葉も見つかりませんでした。

「どんなことも興味を持って求め続けていれば、チャンスは突然やってくる!」 カラブリアで、私の人生哲学(!?)がまた立証されました

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