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KAYANOのイタリア気分 No.29

2004年5月号

そろそろバジリコは種まきの季節!

5月になると私の家の庭ではハーブ達が存在を主張し始めます。今は垣根に添わせて育てたローズマリーが紫のかわいい花を付けています。冬の間、おとなしくしていたミントやオレガノも初夏の気配を感じ始めると大地から沸き立つように香を放ち始めるのです。セージも香り高く茂り、タイムに至っては芝生の様に地面をうめ尽くします。

そして5月中旬の我が家で恒例行事になっているのが、バジリコの種まき。バジリコは家で育てている他のハーブと違って1年草なのです。 バジリコは気温が15°にならないと発芽しないので、時期を間違えるとうまく発芽してくれません。10日程で可愛い芽を出してくれますがその後少し辛い作業があります。間引きをしないといけないのです。せっかく芽吹いた物を摘んでしまうのは心苦しいのですが、これをしないと上手く育ってくれません。(若芽はサラダに混ぜていただきます。) ご存じの様にバジリコとトマトは、味も色彩も相性がぴったりです。ラフォンテの夏のトマトメニューは、缶詰めよりフレッシュトマトが中心になり、バジリコは欠かせません。この時期、時々我が家で育てたバジリコも登場するのですよ!レッスンで少し不格好なバジリコを見かけたら、まさにそれがそうです。

バジリコと言えばジェノバがあるリグーリア産の物が香も味も逸品とされています。バジリコをふんだんにオリーブオイルと共にペースト状にした街の名前から名付けられた「ジェノベーゼ」はとても有名ですよね。ジェノバはイタリアで一番積み荷の多い港街です。昔、船人達はバジリコの香りでジェノバが近いことが判ったとか。。。ジェノバから10km程に位置するプラ産の物が良質とされています。バジリコはほぼイタリア全土で育ちますが、何故リグーリア地方の物がそんなに珍重をされるのでしょうか?  これは、地中海に面した温暖な気候と、海に迫る山がちの地形が関係しているようです。地中海から吹いてくる乾燥した暖かい風はリグーリアのアペニン山脈で遮られ、北イタリアに位置しながらも温暖な気候になります。また山勝ちな地形は水はけも良くバジリコ栽培に最適な条件が出来上がる訳です。

リグーリアで出会ったバジリコ畑

潮風に吹かれることによりバジリコは色と香りに深みが加わり、軽い塩分を帯びるそうです。15cm前後に収穫してしまうのも大切な事。育ち過ぎたり花が咲いてしまっては苦味が出たり香が抑えられてしまうのです。以前リグーリアの5つの村が集まったチンクェテッレを旅行した時の事。地中海を望むパノラマに感動して「海はきれいだし、暖かくて暮し易いでしょうね!」と街の人に尋ねた事がありました。すると「風が強くて、そう言う意味では生活も戦いだね。」と答えが返ってきました。深意は理解できませんでしたが、暮してみないとわからない苦労もあるようでした。時に人々を悩ませるその風があの香り高いバジリコ・良質なオリーブオイル・わら色に輝くチンクェテッレのワインを作り出すのですね。

ジェノベーゼをかけたトロフィエ

私が初めてジェノベーゼと出会ったのはポルトフィーノのレストランででした。トロフィエというクネクネしたパスタのうねりがわからない程、若草色のペーストがたっぷり合わせてありました。「これではパスタの味がわからないのでは?」と思っていただいてみると、とんでもない。イタリアの小麦粉は味があるせいか、ジェノベーゼとの相性は抜群でした。後で知ったのですが、若い葉だけを大理石の乳鉢で作るので、熱が伝わらずペーストは若草色なのだそうです。

リグーリア地方の名物料理ズッパディペッシェ

チンクェテッレの村のひとつマナローラで出会った「ズッパ ディ ペッシェ」の味も忘れることが出来ません。リグーリアの上質なオリーブオイルと香り高いバジリコで作ったペーストがふんだんに添えてあったのです。マナローラは漁師の村だからお魚も新鮮だったのでしょうね。

毎年、我が家のバジリコが茂りはじめると、リグーリアへまた味わいに行きたい気分になり、気持ちはリビエラへと飛んで行きます。

バジルを使ったカプレーゼサラダ

爽やかな5月、皆さんも今年はバジリコの種まきをされてはいかがですか?

夏には色鮮やかなカプレーゼのサラダが、食卓に彩りと香りを添えてくれるはずです。

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