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KAYANOのイタリア気分 No.84

2008年12月号

塩は街の歴史と共に マルゲリータ サボイア

今月は先日の旅行でとても感動したプーリアの塩田にについて書きたいと思います。

塩の街、マルゲリータ サボイアはバーリからガルガーノ半島に向かうアドリア海に面した街です。私達はテレニア海側のナポリからイタリア半島を横断して塩の街を目指しました。車で3時間の道のりです。

プーリア州
タヴォリエーレ平野

一時間も走りプーリア州に入ると、地平線も見渡せるようなタヴォリエーレ平野の風景が目の前に広がります。所々の小高い丘にはアドリア海から吹く強風を利用した、風力発電の風車が並びます。

イタリアで2番目に広いこの雄大なこの平野は穀倉地帯としても知られていて、年間を通して南イタリアの強い太陽が照りつけるのです。

実はこの風と太陽が良質な塩を作るのに大切な条件になっています。

マルゲリータサボイアの町と海に沿って広がる塩田

イタリアの塩と言うと同じ様な自然条件を持つシチリアのトラッパニ産の物が有名ですが、規模はマルゲリータサボイアの方が大きく生産量も一番です。

トラッパニの製法は一箇所の塩田で塩の純度を上げながら仕上げて行くのですが、それに対してマルゲリータサボイアは海から海水を引き込んだ後、濃度に応じて別な塩田に移動させながら仕上げて行くのです。

塩が結晶すると水は赤い色になりますと実験で説明してくれるヴィータさん

北から南に向かって塩の濃度で色が濃くなってゆくのですが、その様子は目でもしっかりと見て取れます。海から引き込んだ直後はアドリア海と同じブルーですが、だんだんとその色を深くして紫色そして赤色へと濃度と共にその色を濃くしてゆきます。

色は表面の水の色で、覗き込むと底には真っ白な塩が沈殿しています。濃度によって水の色が変化してゆくなんて不思議ですね。

半年かかって出来た塩の山

塩田は海岸線に沿って20kmにわたり広がり、総面積は4000ヘクタールにも及びます。歩いて回るには広すぎるので、私達はマルゲリータサボイア生まれのガイド ヴィータさんと共に車で移動しました。その果てに私達が見た塩の山は、約半年かかって自然が作り出した結晶でした。

御主人が塩産業に従事しているという、彼女の熱い語り口調は郷土への愛に溢れていて、実験も交えて詳しく説明してくれました。

塩作りの道具
(博物館の展示品)

マルゲリータサボイアの塩作りの歴史は古代ローマ時代にさかのぼります。海水を利用して塩田を移動しながら風と太陽によって作られてきた方法はその頃と少しも変わっていないのだそうです。潮風の元、太陽に反射する色とりどりの塩田は古代から続く神秘のようでした。

昔の塩作りの様子の写真(博物館の展示品)

今は工業化されている作業も20世紀始めまでは全て手作業でした。強い風を受けた炎天下の元、中腰で続けられる労働は過酷だったことでしょう。

そこには塩の博物館もあり、作業の様子の写真や昔の塩作りの道具が展示されていました。列を成して作業する男達、塩田に赤ちゃんを寝かせて作業をする女性、塩田で両親を手伝う子供たち、その写真は重労働を物語っていました。

今はリゾート地として、塩をスクラブにエステが受けられるホテルも立ち並びますが、以前は塩の他に特産物も無く、人々の生活全てが塩田と共にあったとヴィータさんは語っていました。

塩田から塩を集めるヴィータさん

街はサリーネ(塩田とういう意味)と長く呼ばれていましたが、18世紀ナポリのマルゲリータ女王に塩を献上したのをきっかけにマルゲリータサボイアとその名を変えたのだと語った時、彼女の声のトーンが明るくなった気がしました。マルゲリータと言えばピッツアの名前にもなっている、ナポリ王国を代表する女王です。

塩と共に生きて来た事が報われ、女王の名を戴いた事は、ヴィータさんのように郷土を愛する街の人々には大きな誇りに違いありません。

塩田を飛び回る
フラミンゴの写真
(博物館の展示品)

最後に彼女は塩田と共存するフラミンゴのお話をしてくれました。ここでしか見られない赤い羽根を持った鳥、この鳥達の行動が塩田の状態を教えてくれるのだそうです。季節が違い残念ながら今回は見られませんでしたが、春先に塩田に舞う群れの美しい姿を見るとき、マルゲリータサボイアに生まれた幸せを噛み締めるそうです。

こんなに大切に作り続けられて来たマルゲリータサボイア産の塩、その歴史とあり難さを忘れずにこれからも料理に生かして行きたいと、改めて感じた塩田見学でした。

2008年も12番目の月になってしまいました。

今年も1年間「イタリア気分」読んで戴きありがとうございました。

来年も気分が盛り上がるように頑張りたいと思いますので、引き続きこのコーナーをよろしくお願いします。

それでは、皆さん Buon natale e buon anno!

(楽しいクリスマス・そして良い年をお迎えください!)

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