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KAYANOのイタリア気分 No.12

2002年12月号

ナターレのドルチェ パネトーレとパンドーロ

カトリックの国イタリアは12月に入るとクリスマス(イタリア語ではナターレ)で一色になる。

街角はイルミネーションやツリーに飾られて、クリスマス商戦が盛んになる。

教会にはキリスト誕生の様子を人形で再現したプレセピオが飾られる。

クリスマス(12/24)の前に飾られたプレセピオ
まだキリストは生まれていない....。

こちらは木で作られたプレセピオ

それより一足早く11月の半ば位から、突然イタリア中にお目見えして店先を飾り、ナターレが近いのを教えてくれる物がある。それが今日話題のパネトーネとパンドーロだ。両方とも高さが20cm程の円筒型の箱に入って積み上げられる。パッケージは赤や白、ピンクと色とりどりだ。

私の記憶では、どちらも値段はひとつ1万5000リラ(今なら8-9ユーロ=約1000円)位だった。これがクリスマスを過ぎると3個で同じ値段になった。また1/3位の大きさで、一人~二人用のミニパネトーネやパンドーロも売っていて、このサイズも手頃でかわいい。賞味期限が長いので(不思議なことに半年くらいあるのです。)クリスマスを越しても楽しめる。

パネトーネは直訳すると大きなパンと言う意味になる。私が初めてパネトーネを食べたのは今から10年程前。初めてイタリアでクリスマスを過ごした時、中身も味も全く知らずに、箱の可愛さに惹かれ思わず買ってしまったのだった。箱の上から出たリボンを下げて家迄帰る途中、なんだか幸せな気持ちになったのを覚えている。「中身は?」ドーム状の大きな形。「味は?」微かな醗酵臭、ふんわりとキメが細かくフルッタカンディータ(ドライフルーツの砂糖漬け)が入っていてほんのり甘い。

イタリアで初めて買ったパネトーネ

クリスマスの時期にボローニャに滞在した時、通っていたシミリ料理教室でパネトーネを作るレッスンがあった。オーブンで焼くのは1時間足らずだったが、その前段階で丸二日という時間を要した。天然酵母を練りこんだ生地を一晩寝かせたければならなかったからだ、出来上がりはすばらしく美味しかったが、家で作るには向かなかった。 帰国後、簡単に出来るようにドライイーストを使ったり配合も変えて、レッスンで教えたこともあるが何かが足りない。天然酵母の優しい香と、ふわふわのキメ、それに、あの円筒形の箱。その後はパネトーネはお店で買うものと決めている。

パネトーネの歴史は18世紀に遡るという。ロンバルディアはミラノの出身だ。18世紀のパネトーネには例の箱はなかったはずだ。ではあの箱はいつから?実は数十年前、ミラノのお菓子屋さんモッタ(MOTTA)の社長ジャンフランコ モッタ が考案した物だという。 その後大ブレイクした90年から2000年にかけての10年間でパネトーネの売り上げは約倍になったそうだ。彼は大金持ち、お菓子王と呼ばれ、一時はACミランのスポンサーにもなったというのだから、すごい。18世紀の一地方の伝統的なお菓子がパッケージひとつでイタリア中に広まり、クリスマスのイメージとともにこの時期の主力商品になったと言うのは興味深い。

ミニパンドーロとモスカートワイン

一方パンドーロは何?直訳すると「金のパン」と言う事だ。形は星形。パンドーロはフルーツが入っていない。金と呼ぶにふさわしくバター、卵を中心にリッチな配合で作られている。やはり、天然酵母をつかって長時間醗酵をさせる。

ヴェネト州ベローナの出身だ。箱の中に必ず粉砂糖が入っていて、たっぷり振り掛ける。正式には膨らませた袋に粉砂糖も一緒に入れて、振りながらまぶそうだ。 切り分けてからオーブンで軽く温めるといくらでも食べられる。この食べ方を教えてくれたイタリア女性は「パンドーロを食べる時だけはダイエットはお休みなの。」と言っていた。確か彼女はパンドーロと一緒のベローナ生まれだった。偶然なのかな? それとも 郷土を愛して止まないイタリア人のDNAかしら?

ミニパネトーネとアスティワイン

最後に、二つのお菓子と相性の良いビービテ(飲み物)をご紹介します。 アスティスプマンテ、モスカート、ブラケットといった甘口のデザートワインがぴったりなんです。私が一番気にいっているのは、D.O.C.G.(統制保証原産地呼称)にもなっているアスティスプマンテ。初めてピエモンテ州のアスティでこのワインに出逢った時は、フルート型の細長いグラスからスローに立ち昇る優しい泡を見つめながら「こんなに魅惑的で美味しいデザートワインがあったのね。」と感動した。

今年のナターレは、パネトーネかパンドーロにアスティスプマンテがあったら、私は満足です。

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