La Fonte Italian Cooking Studio Perche non vieni astudiare la cucina italiano alla Fonte?

  • 初めての方へ
  • お問い合わせ
  • インスタグラム
  • フェイスブック
  • youtube

トップコラム > KAYANOのイタリア気分 No.24

KAYANOのイタリア気分 No.24

2003年12月号

シチリア ヴェンデーミア(ワイン祭り)参加体験!

今年のヨーロッパは猛暑だった事は皆さんも御存じかと思います。お陰でフランスもイタリアもワインの出来は最高だったようです。今後2003年のヴィンテージワインが楽しみですね。そしてそろそろ新酒が出回る季節、毎年11月第3木曜日に解禁するフランスのボージョレー地方の新酒「ボージョレーヌーボー」は相変わらず毎年話題になりますね。実はイタリアも各地で数えられない程の新酒「ビーノ ノベッロ」が作られています。最近日本でも見かけるようになりました。今年の解禁はフランスより2週間早く11月5日でした。毎年解禁日には深夜0時を待って各地で試飲会・フェスタ(パーティー)が始まります。今年は出来が良かった事もあり、いつもより盛大に明け方まで続いたそうです。

ボローニャで生活して居た頃のことです。ノベッロが出来るのを待ちかねていたワイン好きの友人達に連れられて、ガロンの瓶(約4リットル瓶)を何本か車に積み、ロマーニャ地方の田舎に買いに行った事がありました。タンクからホースで瓶に入れてくれたのが印象的でした。スミレ色を帯びた輝きのある赤、ベリーやリンゴの香りのするフルーティーな新酒。「ビーノ ノベッロにはカルダアローステ(焼き栗)を合わせるのが一番美味しい!」と言っていたのは、その友人のひとりでした。彼にとっては両方が秋の味覚だったのでしょうね。

ブドウ摘み

ワインと言えば、今年の秋のラフォンテツアーの締めくくりのイベントは、シチリアの知人宅でのワイン作り(ヴェンデーミア)に参加することでした。「朝8時から始まります。」と言われたのですが、過密な旅行スケジュールをこなしてきたラフォンテのメンバーは、1時間遅れの9時からの参加になりました。着くなりブドウ収穫から始まりです。斜面に広がるブドウ畑の足場を確かめながら2時間ブドウ収穫に勤しみました。片手にバケツをぶら下げながら一杯になると大きなバケツに運びます。

ブドウ踏み

汗だくで働いた私達の収穫量を確かめたかったのですが....。摘むそばからどんどん地下のカンティーナに運ばれてしまいます。

「地下のカンティーナでは?」と覗いてみると長靴をはいたおじさんがブドウを足で踏み付けています。工場のオートマチックで回転する羽のついた圧搾機は何度か見ましたが、こんな原始的なやり方は初めてです。私達も、もちろん参加です。ブドウに足を取られながらも力強く足踏みするとその度にモスト(ブドウジュース)が滲み出してくるのがわかります。夏の間シチリアの太陽を浴びながら、丹念に剪定されて実をつけ熟したブドウです。何とも言えない甘い香が漂います。カンティーナは少し斜に設計されていて先端には穴が空いていています。そこから一段低い貯蔵場所にモストが落ちる仕組みになっているのです。

圧縮機

踏んだブドウとこれからのブドウ

足で踏んだあとは圧縮機が登場です。

これもかなり原始的、前にワイン博物館で見たスタイルです。

最後に重しをしながら無駄なくモストを絞り切るのですが、それには少し時間必要です。

その間、フェスタ(お祭り)の始まりです。近所のシニョーラ達によって飾られたテーブルがフェスタに華やかさを添えてくれます。

開始はプランツォ(昼食)を兼ねて12時過ぎからなのですが、ブドウ摘みに参加した10倍以上の人が集まって来ました。

労働はしないけれどフェスタ参加組がこんなにたくさん!!

家の御主人はともかく、どうも近所の人にとってはワインを作るよりお祭りの方が大切な様ですね。どこの国にもお祭り荒らしって居そうですよね。食べて飲むのは当たりまえ歌ありダンスありとても楽しいひとときでした。

ブドウの搾りかすを根元にまく

夕方まで続いたフェスタの間絞り続けられたモストに酵母を入れたら、数カ月樽の中で熟成に入るのです。最後に樽詰めをして作業終了!225リットルの樽が3つ分できました。家の御主人は満足そうに樽を眺めています。数カ月寝かせたあと、この家で1年間大切に飲まれるのでしょう。 ブドウの搾りかすは工場ならグラッパにする所でしょうが、ここではまずは木の根元にまかれて肥料にし、来年のブドウ栽培に使うとのことでした。なんて無駄がないのでしょう!

イタリアワインは古代ローマにワイン造りの知識をもたらしたギリシア人によって作られ始められたと言われています。しかもブドウ栽培が初めてもたらされたのは今回ワインを作ったシチリア島だったそうです。2000年以上の間ワイン作りには1年間の労働と自然の恵みと人々の思が込められてきたのでしょう。

ノベッロ(新酒)の話しを聞くと「私達が参加して作ったあのワイン、もうそろそろ飲める頃かしら?飲みに行きたいな~。」とイタリアワインの歴史の重みさえ感じさせてくれた、あの貴重な体験を思い出します。

さて今年も残す所1ヶ月となりました。この頃になるとより良い年を迎えるため1年の反省をする方も多いと思います。私の今年の目標「地中海式ダイエッター」はどうだったのでしょうか?年は一つ重ねましたが、成人病にも脅かされる事もなく、健康に過ごす事が出来ました。また、カラブリアやシチリア等、南イタリアを訪れ、レストラン研修もして、現地からオリーブオイルをふんだんに使ったレシピを持ち帰る事が出来ました。「地中海式ダイエット推進」に関しても私なりにクリアできたかと自負しています。

今年1年間、このコーナーを読んでいただき、またラフォンテを応援していただきありがとうございました。  それでは、良い年をお迎えください。

コラムに戻る