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KAYANOのイタリア気分 No.45

2005年9月号

イタリアのマンマ マリアさんとの出逢い

太陽のような笑顔のマリアさん

商魂たくましいアルベロベッロの店員さんとの一件で、かなり落ち込んでいた私....。

そんな気持ちを和らげてくれたのが、その直後に出逢ったマリア マタレーゼさんの笑顔と優しい言葉だった。

彼女はこの地方に伝わる伝統的なリネン(麻)の織物と幸運を呼ぶフィスキエット(笛)を売るお店の女主人。

親友のジャンフランコの以前からの知合いで、彼に紹介された時、マリアさんは鮮やかな黄色のワンピースを着て居た。

「ひまわりのようなおばさん」っと思ったのが第一印象。

ちなみにイタリア語でひまわりはgirasole(ジラソーレ)と呼び、直訳すると「太陽を回る花」という意味になる。彼女の太陽のような笑顔にピッタリの表現だ。

天井のポモドリーニ

初対面なのに、トルッリの家に招き入れてくれてコーヒーを出してくれた。

天井からはポモドリーニ(プチトマト)が下がり白い壁に映え、彼女の住まいのイメージ通り...。

自己紹介をすると「イタリア語が上手ね。」っと褒めてくれたので私も気を良くして、初めてこの街に来た時5年前、街の美しさと共に、人々の素朴さと親切さにとても感激した事、そして数年経って戻ったら、さっきのお土産屋さんの店員さんが変わってしまっていた話しまでしていた。初対面なのにそんな話しが出来たのもなんだかとても不思議だった。

博物館の機織機

マリアさんはすぐにどの人かわかってくれて、「彼女はお店の奥さんで観光客が激増したここ数年で人間が変わってしまった。」のだと教えてくれた。

「でもね。アルベロベッロの人が全員そうなったのではないのよ。私の回りの人達は皆素朴な良い人ばかりよ!ひとりの人で街が変わってしまっとと思うのはとても悲しいわ!」怒り半分でかなりつたないイタリア語だったのにもかかわらず、私の話しをじっくりと聞いてくれた上に私の気持ちを和らげてくれた。その口調からは彼女の懐の深さを言葉を越えて感じ取れたのだった。

お店にデスプレイされたリネンのテーブルクロス

その後、私は彼女との付き合いが始まった。

私がホームスティをしたり、彼女が日本に来たりと、マリアさんの家族や近隣の人々と知合い、親交を重ねる事になる。

皆、心が豊かで素敵な人々ばかり。そんな人々に囲まれて、きっとマリアさんの生活はいつも穏やかだったのだろうと思っていた。 しかし、ある時、その人生が決して平穏な物でなかった事を知ることになる。

離婚後、織物をしながら、4人の子供を育て上げた。

リネンの伝統的な織物は街で織る人が少ない上に、皆、商いは素人。それを彼女が店を構えて、取りまとめて来たのだった。

マリアさんのお店の機織り機

彼女が扱う麻の織物は、トルッリの屋根、クジャク、ベル、木、花、色鮮やかで美しい模様の物ばかり、総べて幸運・幸せ・誠実を意味している。それぞれが、テーブルクロス・ランチョンマット・小物入れ・前掛けと姿を変え店先に並んでいる。

ラフォンテの5周年の記念に「鍋つかみ」を作ってもらった事もある。

お土産屋では機会織の物も売られているが、美しさと繊細さは比べ物にならない。

プーリアの民芸品
フィスキエットは900種類

幸運を呼ぶフィスキエット(笛)はプーリアの赤土の焼き物で、動物・花・マンガのキャラクターと、かわいらしく型どられ、鮮やかに色付けされたものだ。その種類なんと900種類、こちらも職人がひとつひとつ手作り。

人生の苦難を織物に込めながら....。ユーモラスな笛で人々の幸福を願いながら....。悲しみや苦しみはあったはずなのに....。人生の艱難辛苦を越えた彼女の笑顔と優しさは、周りの人々に向ける本物の愛、そして優しさなのだと私は思っている。 こんな「私のイタリアのマンマ」と思える女性に出会えたことの幸運を、南イタリアの太陽と白い街を思す時、いつも噛み締めている。

マリアさんのお話はもう少し続きます!

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