KAYANOのイタリア気分 No.52
2006年4月号
ロンバルディアで出会った街 ボルゲッド
北イタリア ロンバルディア州 ミラノを州都とするこの地域は肥沃なパダノ平野,雄大なポー川とそこから分岐するいくつかの川が水と緑の美しい風景を作り出す魅力的な州のひとつ。春もたけなわの4月5月この辺りをドライブしたらどんなに素適でしょうね。
数年前ラフォンテツアーでロンバルディア州 ゴイトという小さな街に泊まった時のことだった。グルメな人ならミシュランの星に輝く「ダルペスカトーレ」を連想する方も多いのでしょうが...すんなり大金を払って行かないのがこのミステリーツアーの魅力!!(たまに素適な?失敗もしますが)
ホテルからの情報で、夕食はコーディネーターと相談し、小さな街のトラットリアへ行くことにした。街の名前はボルゲット。
「川に浮かぶ町 地図にも載っていないかもしれない」というのが触れ込みだった。確か「Non troppo lontano!」(たいして遠くないよ!)と言っていた。「15分位だね。」っと、車を走らせる。でも...走れども走れども真っ暗な林道、そんな町出てくるとは思えない。「道を間違えたんじゃないの!!」空腹も手伝って苛立ちの声が聞こえる。
小一時間走った頃やっと着い~た! がしかし、車で街に入れない。「ここから歩きましょう!」と皆を励ますしかなく、街に続く橋を渡り、長い坂道を登って行く。空腹の方はとっくに頂点! 坂を登りきり街が見えたとたん皆大声を上げた「素適な街~!」「イタリアのメルヘン~」私はと言えば声が出ない。もちろん空腹のあまりでなく感動のあまりに。。。
目の前に出現した激しくも美しくもある川の流れ、そこに街がまさに浮かび上がっている。家は色も形もおそろいで、水車付き家もある。小さな街が夜ゆえにライトアップされて更に幻想的に見える。
「来た甲斐があった!」一番思っているのは無論私。。。 古い家を改装して作ったトラットリアの中の作りもとても素適でした。田舎に居がちな、気の利かない カメリエーレのサービスに耐える必要はありましたが、伝統的な地元の料理が楽しめ味も中々でしたヨ。
さて、次の日になっても私達、あの街の感動が覚めやらない。直接ガルダ湖に向かうはずが朝のボルゲットを見てみようと全員が一致。立ち寄ることになった。
昨夜は入り口のただの橋と思っていたら、なんとローマ時代の遺跡。軽快に坂道を登ると、朝の表情もなかなか、私達を歓迎してくれているよう豊かに水をたたえている。 激しく流れる川の中ほどに昨夜から気になっていた大理石の塔、暗くて文字が読めなかった。それは1861年の統一から100年間イタリアの平和を願い続けたモニュメントだった。
そう、たしかロンバルディアはムッソリーニの支配の中にあってもレジスタンス運動(ナチスに対する抵抗運動)の中核だった。大戦中はここさえ戦火の危険にさらされたのかしら?美しい街を前に今の平和の重みに熱い物が込上げた。 川に浮かぶカフェに腰掛けて、水と緑の美しい風景を目の前に至福のティータイムを皆、楽しんだ。ロンバルデイア州 ボルゲット、春再び一度訪ねたい街の一つ。。。。