KAYANOのイタリア気分 No.59
2006年11月号
秋の味覚トリフに乾杯!
深まる秋。六本木通りの銀杏も日に日にレモンイエローに変わっています。 皆さんいかがお過ごしですか? 読書?スポーツ?芸術鑑賞?それとも恋愛? 私はこの季節、色付く街をウォーキングするのが好きです。知らない街にふらりと訪ねるのも素敵ですよね。でも一番はやっぱり「食を楽しむ事」。お料理のレパートリーが一番広がるのも食材豊富な秋なんです。
そう言えば先月、フランスからイタリアへと2週間旅をして2つの国の秋の味覚を楽しんで来ました。
フランスはパリに滞在してノルマンディーまで足を伸ばしたのですが、ジビエ・生カキ・ムール貝、芸術作品のようなお菓子の数々、フランスワインはもちろんシードル・カルバドスと本当に幸せな日々でした。
パリからTGVでトリノに入り数名の生徒とジョイント。その後の旅で堪能したのは秋の味覚「トリフ」に「ポルチーニ」。もちろんワインと一緒にね。 トリフは贅沢にも「ピエモンテ産の白」と「ウンブリア産の黒」を戴けたのです。
トリノから移動し、4日程ピエモンテのカネッリのアグリツーリズモ「Rpestore」に滞在しました。オーナーのジョルジョとは4年前からのお付き合い。彼の計らいで、今回は白トリフ狩りに参加させてもらいました。季節限定のトリフ。とても貴重な体験でした。そうカネッリは11月11・12日とトリフ祭りが行われます。街はその看板一色でした
イタリアでは犬がトリフを探します。
(フランスは豚だそうです。)
以前から話には聞いていましたが、実際見たのは初めて!
「トリフ収穫免許」を持つジュゼッペさん(本職はお肉屋さん)と訓練を重ねた犬のビルゴラ。彼は間違ってトリフを食べないように猿轡をはめられています。(ちょっと可愛そう!)
向かった先は朝靄の立ち込める林。彼らを遠巻きに見る私達。土は固くトリフが埋まっている感じは全くしません。
「こんな大地からどんな風に探すのかしら?」。杖を持ったジュゼッペさんの呼びかけでビルゴラは大地に鼻を擦り付けます。10分経過。ビルゴラの動きが激しくなりました。どうもトリフを探し当てたよう。
前足で示す所を掘り返すジュゼッペさん。大地に顔を押し当てながら香りを確かめます。でも出てくるのはごろごろとした固い土と石ころばかり。「本当にあるの?」と疑い深い私達。
でも、でも、でもね、掘り返した小石の中から直径2cm位のかわいいトリフが見つかったのです。なんとも言えない芳香が辺りに立ち込めます。貴重な収穫をジュゼッペさんがプレゼントしてくれました。
そしてその晩、ジョルジョとトリフ料理を作ることになりました。それだけでは足りないので卸値で分けてもらったのは直径5~6cmの立派なもの。値段は80ユーロ(12,000円位)。レストランでフルコースが食べられる値段ですよね。市場に出たらいくら?日本に来たら?と頭で計算をしながら、夕食に心躍る私達でした。
トリフは卵と相性が良いので、手打ちのタリオリーニにたっぷりかけていただきました。メインはお肉にポルチーニを組み合わせ更にトリフと贅沢の極みでした。 それからピエモンテ州はワインの宝庫、ドルチェット・バルバレスコ・バローロも忘れず、デザートにはアスティスプマンテまで戴きました。
その後、ウンブリア州に移動してオルビエートに滞在したのですが、ここでは太目のパスタ「ストランゴッチのバターソース」と「レモンのリゾット」に黒トリフを合わせていただきました。
白トリフほど繊細では無いにしろ、こちらも中々でした。
ところで、イタリアの新酒「ノベッロ」は11月6日解禁。
私はウンブリアでAntigniano というカンティーナまで足を伸ばし、日本へ出荷前の「ロッソ ディ トルジャーノ」のノベッロを一足先に戴いてきました。
樽に耳を当てると発酵している優しい音が聞こえます。
「ワインって生きてるんだ!」と、改めて実感!
「貴方たちが、地球上で初めてノベッロを戴く日本人ですよ!」とオーナーが自らコルクを抜いてくれます。
メルローとサンジョベーゼのブレンドは、色が鮮やかでとても綺麗。後味に甘みがほのかに残り、2006年の出来は中々でした。皆さんもお楽しみに!!
実は私、今までお酒は弱いと思っていたのです。知人にもそんな風に語ってきました。でも今回の旅で「かなり飲める自分」を発見!だって連日、昼夜、食前酒・ワイン・食後酒のグラッパまでアルコールもフルコースだったんです。
トリノでは学生の頃から憧れだった、トゥーリンパレスホテルに泊まり、朝食からシャンパンで華やいでいました。 この秋、どなたか私と呑み比べをしませんか?でも「ただのお酒好き?」とイメージを崩されませんように! なんと言ってもこの秋の私はフランス・イタリア仕込み???なんですから.....