KAYANOのイタリア気分 No.62
2007年2月号
麗しの街 Paris(パリ)!!
昨年の秋、10数年ぶりにパリを訪ねました。1990年 フランス料理を学ぶため3ヶ月生活した街です。
イタリア料理を始める前ですからヨーロッパの料理に触れたのはパリが初めてでした。 昨年は夏あたりから、何となく雑事に追われるだけの落ち込みの日々、そんな忙しい日々から逃れて、自分の原点に戻ってみたくなったのです。
私が初めてあの街を訪れたのは忘れもしない1987年の11月でした。 実は主婦と生活社の料理コンテストでグランプリを頂き、ご褒美旅行だったのです。当時はかなり可愛い(!?)20代の女の子でした。
ヘップバーンとバーグマンの古い映画が大好きでよく見ていた頃です。スクリーンでしか見たことがなかった、凱旋門、エッフェル塔、オペラ座を実際見た時の感動!モンマルトルから見下ろす街は秋色に染まってロマンチック!高級レストランで芸術的なフランス料理を堪能!それもご招待!パリはすぐに若い娘の心を虜にしてしまったのでした。
パリを描いた映画は何本も見ましたが、その時思い出していたのが、ヘップバーン主演の「麗しのサブリナ」でした。サブリナが恋をあきらめるためにパリへ料理の勉強のため留学。素敵なレディーになって帰郷、本当の恋をゲットする、なんてシンデレラストーリーでした。ポニーテールにフレアースカートの女の子が最新ヘアーにジバンシーファッションを身にまとい、パリから故郷に戻るシーン。本当に素敵でした。女の子なら誰でも憧れるおとぎ話ですね。
サブリナはパリの名門の料理学校「コルドンブルー」でお料理を学んでいました。そして初めてのパリで「私もパリでサブリナになる!」と一大決心!その時、既に料理の仕事に就いていましたが家庭料理に飽き足らず、「自分の専門が欲しい!」とフランス留学を決心したのでした。3年間お金を貯めて、1990年 季節は春。サブリナの様にコルドンブルーのコースを受けるための渡仏でした。
パリの3ヶ月は学費が高かった事もあり、かなりの貧乏学生でした。バケットやケバブーのサンドイッチをかじりながらウインドウショッピング。クレープやクスクスなんて庶民の味も大好きでした。マルシェ(市場)ではお買い物して色々な料理を作りました。たまの贅沢はカフェから街を眺めること...。 シテ島近くセーヌ川沿い、当時ミシェラン三ツ星「トゥールダルジャン」の前はよく通りました。「いつかここで食事が出来る日が来るかしら??」って….。
今みたいに気軽にレストランへ行ったり、洋服やバックのお買い物なんてとても出来なかったけれど、お財布の中のフラン硬貨を数えながらも、それはそれは楽しい毎日でした。
3ヶ月の間に住まいは3度変えました。凱旋門の近くのマックマフォーンという通り、パンテオンの裏でムフタール市場の近く、そしてアンバリドの近く。何でそんなに変えたかって?短期貸しのアパートを探すのが難しかったし、ホテル住まいは予算オーバー!だから日本へ一時帰国する人達のまた貸しの部屋に住んでいたのです。
大きなスーツケースとボストンバックを下げてタクシーなんて使えるわけも無く、メトロで乗り継ぎながらのお引越しでした。当時はパリに居るため、かなり根性が座ってました。
それにしても、あの頃は本当に良く歩きました。10日間でスニーカーを一足はき潰してしまったくらいです。
一番好きだった散歩コースはサンジェルマンデュプレとリュクサンブール公園あたり。サンシュプレース寺院の穏やかなマリア像が好きで良く会いに行ったものです。昨年ダビンチコードの舞台にもなっていました。 凱旋門のエトワール広場を横目に通学していた時は、完全にヘップバーン気分でしたよ! そう、パリは「私もサブリナみたいに素敵な女性になって、帰国できるのかな~、恋もかなっちゃうのかな~」なんて、シンデレラになれそうな麗しの街だったんです。
来月はコルドンブルーでお勉強したときの事をお話させて下さいね。