KAYANOのイタリア気分 No.64
2007年4月号
イタリアのファリーナ(小麦粉)マジック
「3月に日本に行くけど、欲しいものはある??」 アルベロベッロのマリアから電話をもらったのは2月の半ばだった。 彼女が来てくれる事が一番のプレゼントなのに、日本に来る度に、彼女は心のこもった贈り物をたくさん届けてくれる。
「マリアに会える!」そんな感激の中で「欲しいもの?」大抵のイタリア食材は日本で手に入るようになったけれど「東京でも本物は買えない!」といつも思っているのが、イタリアのファリーナ(粉)。それもプーリアの挽きたてのファリーナ。(スーパーに並ぶセモリナ粉は案外カナダ産の物が多いのです。)
私は以前からイタリア料理の魅力の一つが粉を上手に使う事だと思ってきた。パスタ然り、ニョッキ・ピッツァ・パーネ・ドルチェ….そうファリーナ(粉)なしにはイタリアンは語れない。シンプルだけど色々な料理に変わっちゃう魔法の食材。何にそんなに惹かれるか?やはり風味と味かな~。イタリアの太陽と大地を一杯感じるのです。
オリーブオイルにもトマトにも相性は抜群!黒味を帯びたインテグラーレ(全粒粉)がパンや素朴なパスタに姿を変え、黄色みがかったセモリナ粉がファンタジックな形のパスタになって食卓に並ぶ。そしてそれを囲む皆の幸せな笑顔を想像すると、胸が高鳴って来ます。 「そうねこの際、甘えちやえ!!」と…。
「あのねマリア、ファリーナが欲しいの!ムリーノ(粉屋さん)で引立ての…。重いからインテグラーレとセモリナ粉1kgずつね。」 そして彼女が持ってきてくれたのは、「インテグラーレ(全粒粉)・セモリナ粉・ファリーナビアンカ(小麦粉)」の3種類。ムリーノ(粉屋さん)の袋に詰められていた。
でも彼女何と、3種類の粉を5kgずつ、合計15kg持ってきてくれたのです。ホテルでバゲージを受け取って持ち上げた時、重さに腰が抜けるかと思ったくらい驚きました。 「マリア、重かったでしょう!これじゃぁ多すぎよ!」 「何を言ってるのkayano! 1kgじゃあ何も作れないでしょう!ラフォンテの生徒さん、全員に食べてもらわないと!」と、太陽の様な笑顔。重かった事を一言も口にしない、イタリアマンマの懐の深さに改めて脱帽してしまいました。 ホテルで台車を借りて、やっとタクシーに乗せ、教室の前に着くと必死に2階まで階段を上りました(マリアはイタリアから持って来たというのに、情けないことに私、次の日、腰痛でした。)
彼女が運んで来てくれたファリーナを見つめていると、作りたいメニューがどんどん浮かびます。マリアの好意をしっかり受け止めようと、3月の上級コースはファリーナをテーマにしたレッスンを行いました。
アンティパストはマリア直伝のインテグラーレ(全粒粉)を使った揚げパンに生ハムとルーコラを添えて…。
プリモピアットはセモリナとファリーナビアンカ(小麦粉)を混ぜたガルガネッリ。(復活祭にちなんで子羊のラグーで合わせました。)
既に試作の段階で粉その美味しさに大感激でした。 そしてレッスン当日、生徒さんたちは口々に「なんて味わい深いの~!」とか「イタリアに居るみたい~!」と好評でした。きっとイタリアの太陽と大地の味が届いたのでしょうね…。そう、それは決して私のレシピの力ではなくて「ファリーナマジック」だったのです。 でも、添加物なしの小麦粉の賞味期限は短く、たった3ヶ月。そう5月末まで….。 近いうちに、ラフォンテでファリーナパーティーを開きましょうか? 香り高いパンを焼いて、パスタはもちろん手打ち、ピッツァはナポリ風、それからニョッキ・フリット・ドルチェだって作らせてね…。 いつもより、より美味しく作る自身がありです!なんと言ってもイタリアの太陽と大地が見方ですからね。 マリアの愛情こもったファリーナで、私の感謝を練り混んで、皆さんへ「イタリアン ファリーナマジック」をご披露しますね。 そうそう、プーリアから絞りたてのオリーブオイルも地元のチーズも届いたんですよ! 春の風に誘われて参加なさいませんか?