KAYANOのイタリア気分 No.73
2008年1月号
私のお気に入り ゴルゴンゾーラ
皆さん 明けましておめでとうございます。
年の初めは私のお気に入りのチーズ「ゴルゴンゾーラ」のお話です。なんだか怪獣みたいなゴツゴツとした名前ですが、フランスのロックホール・イギリスのスティルトンと並び称さる3代ブルーチーズです。カビ香がマイルドでクリーミーな味わいには根強い人気があります。
9世紀頃から作られ始めた歴史あるチーズの名前は、ロンバルディア州のゴルゴンゾーラ村に由来します。春~夏の間アルプスで放牧された牛が寒さを避けるためこの村に戻った折に作られていました。きっとこの季節の自然条件がこのチーズを作るのにピッタリだったのでしょう。しかし、生産量が増えた現在、チーズ工場は村の近郊に点在していて、温度・湿度管理のもと、一年中作られています。
トリノの学校で学んでいた時、ピエモンテ州のノヴァーラの工場に見学に行ったことがありました。足元が濡れていて工場内はひんやりと湿度が高く、薄暗かったのを覚えています。ゴルゴンゾーラは高温・乾燥・光に弱いので、チーズに一番良い環境にされているとの事でした。またチーズは音にも敏感なのか?皆さん静かに働いていました。とても神聖な感じがして「もし、イタリアに住むことがあってもゴルゴンゾーラ工場では仕事できないかも…。」と思ったのを覚えています。
同じ、チーズ工場でもパルミジャーノは乾燥していて湿気が少なく、明るく光が差し込んでいました。こちらはカビを嫌うチーズだからでしょうか?
チーズ職人さん達のお仕事は朝が早く、重労働。どなたも生き物である製品に愛情を込めてお仕事をしているのが良く伝わってきました。
製造工程からもわかるように、ゴルゴンゾーラはとてもデリケートなチーズです。ですから、食べ頃を間違えないでくださいね。賞味期限は意外と短く、カビ周辺が黒ずんできたら注意です。
私の、秋から冬の新作料理には毎年このチーズが登場します。ゴルゴンゾーラが一番美味しく感じられる季節だからです。
アンティパストで、ラフランスと合わせて蜂蜜とバルサミコをかけたサラダは生徒に大人気でした。ポレンタに最後に練りこみ、フォンデューソースと合わせたものは、地味なイメージの郷土料理をお洒落に仕上げました。プリモピアットならおなじみのパスタにリゾット、セコンドは牛フィレステーキのソースに使うと絶品です。(料理は全てラフォンテのレッスンで撮った写真です。)
ゴルゴンゾーラのどこがそんなに好きかって?
まず、あの独特な風味、塩分が少なくクリーミーで、そして大理石を思わせるような緑の模様は微生物が作り出した芸術のようです。味わいは組み合わせる食材の味を生かしつつ、しっかり主張する所かな?
私にとって、食材に惚れ込んで、対話をしてみることが新しい料理を考える源かしれません。
私は以前、クリーミーで甘みがあるマイルドなドルチェタイプが好きでしたが、いつからかカビがぎっしりと詰まった風味の強いピカンテの方を選ぶようになりました。
そのまま食べるなら、ドルチェが良いかもしれませんが、パスタ・リゾット・お肉のソースにするならピカンテのほうがお勧めです。
ワインは赤なら、ネビオッロ種のバルバレスコかバローロが合うそう、それと食後ならマルサラ・シェリー・ポルト等の甘口ワインを合わせるのがイタリアの流行のなんですって.....。
さってと、新年はゴルゴンゾーラを使ったメニューも取り入れてパーティでも開きましょうか?
どうやら今年も、楽しく、飲んで食べて、食の探求の一年になりそうです。
2008年が、健康で食を満喫できる充実した年になりますように!
そして、今年もラフォンテを、よろしくお願いします。