KAYANOのイタリア気分 No.83
2008年11月号
ナポリの甘い囁き”スフォリアテッラ”
先月ナポリに数日滞在しました。
「Vedi Napoli e poi mori ! (ナポリを見て死ね!)」とは良く言ったのもで、ベスビオ火山を望むナポリ湾の風景はいつ見ても素晴らしいものです。
南イタリアの中心の都市だけあって、エネルギーに満ち溢れた独特な雰囲気と活気があり、街歩きも楽しい所です。
10月の秋晴れの日、街角でひときわ目を惹き甘い囁きを放っていたのが、パスティチェリア(お菓子屋さん)のショーウインドウ。
小腹が空いたら、ドルチェを頬張りながら気ままに歩くのも楽しいものです。そう、ナポリはドルチェの宝庫でもあります。
そこで、今月はナポリの代表的なドルチェ「スフォリアテッラ」と人気のパスティチェリアをいくつか御紹介したいと思います。
スフォリアテッラはソレント半島の街、アマルフィの修道院のシスターが300年前に考えた物だそうです。
「ヒダを重ねた」という意味合いがあり、リッチャとフローラの2種があります。
リッチャはCoda di aragosta(伊勢海老の尾)とも呼ばれ、名前の通り長い形の物もありますが、だいたいは可愛い貝型をしています。ホロホロと崩れる味わいで、あの歯ごたえと、美しい形を作るのに最低5~6年の職人修行が必要だそうです。フォローラは形が丸く、クッキー生地で出来ているのが特徴です。
どちらもクリームはリコッタチーズとドライフルーツをベースの物が多いのですが、カスタードクリームやアーモンドクリームの物もあります。
どれも、生地のサクサク感とともに軽い味わいが特徴です。
イタリアを代表するドルチェとしても有名でフランス等、ヨーロッパの他の国でも見かけます。
今回、ナポリ在住の岩井美也子さんに人気のあるパスティチェリアを3店、伺いました。
まずは、ウンベルトIガレリアの中にある。Mary(メリー) です。
ピンクをあしらった看板が可愛く、ナポリで一番の人気店だそうです。ナポリ中にMaryと名前を付けたコーピー店がいくつか在るそうですが、ガレリア店が本家本元なので注意してください!
次に、庶民の町スパッカナポリの中心にあるのが、Scaturchio(スカトルキオ)です。サンドメニコ広場に面しているのですぐわかります。以前、スフォレアテッラの他にババも注文しましたが、ラム酒がたっぷりで大人の味、どちらもおいしかったです。ナポリの名店中の名店です。
そして最後に薦めてくださったのが、Pintauro(ピンタウロ)です。
トレド通り(ローマ通りとも言う)に面して、フニコラーレの中央線の駅にも近く、少し地味な店構えながら、ナポリではスフォリアテッレが美味しい老舗だそうです。今回は行けなかったので、次回は行ってみようと思います。
そういえば、今回は、ちょっと奮発してサンタルチア港前の「グランド ホテル ベスビオ」に宿泊しました。マルチェロマストロヤンニの映画のロケにも使われた5ッ星の由緒正しいホテルとして知られています。
イタリアのグレイドの高いホテルに泊まって、楽しみなのがビュッフェ形式の朝食です。だいたい、その地域のパン・ハム・サラミ・スイーツが並び、どこも地域の名店が納品しています。5ッ星ホテルともなればそこにシャンパンやスプマンテまで付きます。「グランド ホテル ベスビオ」のスィーツコーナはナポリドルチェのオンパレードでした!その、スフォリアテッラ、実はナポリで今まで戴いたどれよりも美味しかったのです。
一緒に泊まった生徒は「朝食のドルチェを食べるためだけに、[グランド ホテル ベスビオ]にもう一度宿泊したい!」とまで言っていました。どこのパスティチェリァの物か聞けば良かったですね。とにかく、朝からスプマンテと合わせて、幸福の極み、とても美味しかった!!です。
皆さんも次回、ナポリにお越しの折は是非、ナポリドルチェの囁きに耳を傾けてみてくださいね。
ナポレターノ(ナポリの男性)の囁きには要注意ですけどね!