KAYANOのイタリア気分 No.85
2009年1月号
料理で深まる家族・人との絆 ~ニネッタの料理~
皆さん 2009年がスタートしました。
今年もよろしくお願いします。
ところで、年末年始はどんな風に過ごされましたか?家族やお友達とのんびりとしたり、家族と離れている人は実家に帰ったりした方も多いのではないでしょうか?家族と旅行に行かれた方も多いかもしれませんね。
私の家も家族・親戚が集まり、昔のお友達が訪ねて来てくれました。もちろん皆で楽しく食卓を囲みました。
お正月は家族を始め、人とのつながりを改めて感じることが出来る大切な日本の行事であることは昔から変わっていないような気がします。
そんな事を思う、今年の初めに是非御紹介したいのが、私に家族の大切さを再確認させてくれたアルベロベッロのヴェネチィアーノの家の事です。
60代後半のニーノとニネッタ夫妻には、成人した5人の息子にそれぞれの奥さん、そして10人の孫が居ます。つまり家族は22人です。
皆、近くで生活していて、頻繁に実家に顔を出しますが、週末や特別な日には一同が家族で集います。そして、皆が囲むテーブルにはニネッタが作る温かい料理が並ぶのです。
そう、そんな時ニネッタは平然と22名分の御料理を作り上げるのでした。
そんなたくましいマンマのニネッタと私が知り合ったのは、2005年の事です。
以前から知り合いだった、4番目の息子さんアルバーノが家に招待してくれたのです。
彼女が作る御料理の数々を褒めると「お料理の先生に褒められてしまったわ!」高らかに笑い声が響きました。その大らかさが大好きになりました。料理を通して心が通じ合ったのか私達はとても親しくなりました。
その後、ラフォンテの生徒さんと共にホームスティでお世話になったのは2006年からです。そう、昨年まで3年連続で彼女から習う料理研修を行ってきました。
なぜ3年連続で通ったか?
それは、ニネッタが作る美味しい料理と家族の温かさに惹かれたからです。それを是非、ラフォンテの生徒さんにも紹介がしたかったのです。
彼女の料理をいつも笑顔で味合う御主人のニーノさんはとても穏かな方で、トッルリを作る職人さん、息子さん二人が後を継いでいます。
10歳の孫アントネシアは「お祖母ちゃんの様に料理上手になりたい!」と話し、6歳のジョバンニは「自分もお爺ちゃんやお父さんみたいな職人になりたい!」と目を輝かせたのがとても印象的です。
孫達が一同に集まるのは、核家族化している日本やイタリアも北では、中々見られない光景かもしれません。
皆、近所で生活して1日1度は家を訪れ時間があれば、ニネッタの御料理を食べて行きます。皆とても仲良しで、その家族の絆の源は彼女の御料理のような気がします。
日本でも食育が叫ばれていますが、家族だけでなく共に食事を囲むことがどれだけ、人の絆を深めるかわかりません。それを実感させてくれたのは、ニネッタの料理の数々です。
私はまだまだ、彼女の足元にも及びませんが、皆の心を温かく出来るような一皿を作ることが出来たらと思っています。
来月は素材を大切にする彼女の料理を御紹介したいと思います。