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トップコラム > KAYANOのイタリア気分 No.90

KAYANOのイタリア気分 No.90

2009年9月号

スローフード運動と食育

ローマスペイン広場

イタリアが発祥の「スローフード運動」という言葉を聞いたことがありますか?

1980年代の半ば、ローマの名所スペイン広場に「マクドナルド1号店」が出来、これをめぐる騒動がマスコミでとりだたされて、イタリアの食文化が「ファーストフード」に取って代わられるという驚異から始まったのが「スローフード運動」の始まりです。

スローフードのシンボル

その後、北イタリア・ピエモンテ州のブラという町に本部を置き、1986年に本格的な活動が始まりました。スローに行こうという事で、シンボルは「カタツムリ」です。

スローフード協会の建物

ブラには私も7年前に訪ねた事がありますが、人口3万足らずの小さな町、街のあちこちにカタツムリの看板がありました。街の中心に位置する、スローフードの事務所では各地からの情報を集めた資料も閲覧でき、敷地内にはスローフードを推奨するレストランもありました。時間もゆったりと流れるような小さな田舎町、でも街で出会った人々からは素朴な中にも躍動感あふれるエネルギーを感じ、スローフードが世界的な運動に発展した経緯がしのばれました。

1996年のスローフード協会によって出された法令には、具体的な活動における3つの指針が示されています。

◆守る : 消えてゆく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、ワイン(酒)を守る。

◆教える : 子供たちを含め、消費者に味の教育を進める。

◆支える : 質のよい素材を提供する小生産者を守る。

協会の中の本屋さん

その後、美食とは何かという問いかけから、「伝統の食事素・素朴でしっかりとした食材・有機農業・健康によい物」、に関心が向かうようになって来ました。

そして、世界各国へ、もちろん日本にも紹介され、各地に支部や共鳴者を集めました。2008年現在、132カ国、世界中に85,000人の会員を数えているそうです。

スローフード運動の始まりと時を同じくして、1985年日本でも、「国民の望ましい食生活のあり方」を求めて、厚生省が「食生活指針」を発表しました。現在の食育運動の前身になるものです。

そして、イタリアの法令に遅れる事10年、2005年に「食育基本法」が成立しています。

日本の郷土料理が失われ、子供たちの食生活が失われてゆく危機から、食育は三本の柱から成り立っています。

■ 選食能力や安産管理力を養う。

■ 衣食住の伝承(しつけとマナー)

■ 地球規模で食を考える。

そのスローガンの元、今では、内閣府がリーダーシップをとり、文部科学省・厚生労働省・農林水産省が連携をとりつつ、食育を国民運動として盛り上げ、推進してゆくための政策を掲げています。

上のような、よく見かける「食事バランスガイド」は、健康をコマにたとえ、理想的な食事や運動でバランス良く回転するようにと、誰にも一目で理解しやすいようにした食生活を図解したものです。

イタリアの「スローフード運動」と日本の「食育」、習慣や文化の違いから形や経緯は異なっても、きっとその源は食を通して人の心も体も豊かに「育む」という事。どちらも食の大切さを見直す精神は同じだと思います。

便利さゆえに乱れつつある現代の「食」を再度見直し正す事の大切さを知り、そして食の伝統を未来へつなげてゆく事、それが地球人として、未来向かって私たちの星を守る使命かもしれません。

そんな中、ラフォンテは最近「食育推進校」となりました。

そして「エコかっこいい人になりましょう!」と言う事で、7月にはアシスタント1名、生徒2名が食育インストラクター3級を、8月には私が2級を取得しました。

イタリア料理を通して食育をまた、スローフード運動を進めて行こうと新たな目標の元、スタッフで話し合いをしています。

そして、その一環として、この秋ラフォンテのメルマガをスタートさせる事になりました。

サイトや普段のレッスンはもちろん、このメルマガでも食育とスローフードの情報を皆さんに提供して行こうと思っています。皆さんのご意見で育てて頂けたら嬉しいです。

是非、購読してくださいね。

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