ミラノ便り No.5
ビスティッカ・アッラ・フィオンレンティーナ解禁
4年9ヶ月間、狂牛病のせいでおあずけになっていたフィレンツエ風ステーキ(ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ)が今年の1月から、また食べられるようになりました。
ビーフステーキという言葉自体が、フィレンツエにやってきた、とあるイギリス人によって生まれたと言うくらいなのです。
フィレンツエ風と言ったら、これは絶対Tボーンステーキでなければいけません。
イタリア各地に有名な食肉牛が存在しますが、地元フィレンツエ近郊で有名なのはキァニーナ牛です。キァニーナ渓谷やテーヴェレ渓谷あたりが原産の全身が真っ白の牛です。
この牛はローマ帝国時代にすでに知られていたと言われるくらい、イタリアで古くから存在する評価の高い種類です。ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナを堪能するなら、このキァニーナ牛です。
世界で一番大きく成長する牛としても知られていますが、なんと言ってもばら色の肉の柔らかさと素晴らしい赤身ならではのデリケートな味わいが売り物です。
ペルージャ郊外のイタリア食牛全国協会(ANABIC)の会長ルケッティ氏が経営する農家を訪ねてみました。 真っ白で背中がまっすぐなみごとな1700Kgもある雄牛、牝牛でも体重が1000Kgちかくあるとのこと。 その横には産まれたばかりのグレー色の仔牛がお母さんからお乳をもらっています。 乳離れを余儀なくされ母親から離された成長した仔牛たちは、遠くにいる母親を呼び続けています。 16~17ヶ月ぐらい成長して700Kgぐらいになったら屠殺します(ちょっとかわいそう・・)。
ここは、売店、レストラン、そしてアグリツーリズモも経営しています。
記念にと思って買ったステーキ用のキァニーナ肉は1Kgたった19ユーロでした。
レシートには牛の番号、屠殺した日まで印刷されています!
有名なキャンティーに肉屋を経営するチェッキーニ氏によると、正当なビステッカ・アッラ・フィオレンティーナの楽しみ方は:“屠殺して少なくとも20日間は寝かしたもの(肉を柔らかくするため)、室温に戻した肉は樫の炭火、それも灰が出始めるくらいの状態で焼くこと。片面につき、焼き時間は5分、最後に立ててもう5分、合計で15分で焼き上げ、外に焦げ目がつき、中がレアの状態がベスト。サイコロ状にカットしたものに、塩、胡椒、好みでエキストラバージンオイルをかけてかみつきなさい。” だそうです。肉の厚みは最低でも2,5Cm、600グラムは欲しいものです。
もちろん、キャンティーワインを添えて。