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サルデニア便り No.1

地中海の島 サルデニア便り

サルデニアの場所

初めまして、"食"をテーマにサルデーニャの滞在をコーディネートする"Delizie d'Italia"の藤田智子です。縁あって"La Fonte"さんのHPに今回からお邪魔させていただきます。

9年前、イタリアに家庭料理を習いに来たのが始まりで辿り着いたのがここサルデーニャ、すっかり魅了されてしまって住み着いてしまいました。

まだ日本ではあまり認知されていないサルデーニャの魅力を"食"を通していろいろお伝えしていきたいと思っています、どうぞよろしくお願いいたします。

サルデニアの遺跡

サルデーニャに来て驚いたのは何と言ってもパンの種類が豊富なこと、美味しいこと!

正直、それまではイタリアのパンはそんなに美味しいもの、とは思ってなかったんですよね。(もちろん、美味しいところもあるんでしょうけど・・・)

もともとお米よりパンの方が好きだった私、すっかりサルデーニャのパンにハマってしまいパン博物館を見つけたときには狂喜乱舞してしまいました~!

・・・というワケで第一回めはサルデーニャのパンにまつわるお話です。

島と言ってもシチリアに次ぎ地中海でも2番めに大きく、四国の1,3倍もの大きさのあるサルデーニャ。約1000種類はあるだろうと思われるパンの種類ですが、北から南、西から東、地方により異なるパンが存在、また、お祭りや年中行事によっても作られるパンが異なります。

Pane carasau

日常的に食べられるパンは大きく分けて3つのタイプに分けられます。

・平らで丸くやわらかい"SPIANATA"と呼ばれる北サルデーニャ地方のパン

・薄~い平たい丸のパリパリッとした"PANE CARASAU"と呼ばれる典型的な内陸地方のパン

・大きく外側がパリッ、中はフワッと柔らかい"CIVRAXIU"、または"COCCOI"と呼ばれる島全体に普及しているが、もともとは南サルデーニャ地方のパン

中でも私の特にお気に入りのパンは"PANE CARASAU-パーネカラザウ"と"COCCOI-コッコイ"。共に硬質小麦のセモリナ(粗挽き)粉、水、塩、天然酵母またはビール酵母から作られ、石釜で焼かれますが、パーネカラザウは発酵時間が長く、一度焼いて大きく膨らんだ生地を2枚に分け、再び焼いてパリパリにします。

もともと羊飼いが羊の世話のために長く家を空けるときに保存食として持って行ったパンで食感はポテトチップスのようで食べだしたら止められません!

Coccoi

一方、コッコイにはいろいろな形があり、簡単にハサミやナイフで切り込みを入れたカタツムリやカルチョフィ(アーティチョーク)のような形のものから、王冠やハート型に花びらや葉っぱ、鳥など、作る人の想像力でかなりデコラティブにバージョンアップ(笑)したものまであります。

デコラティブなコッコイは宗教的なお祭りのときに教会に奉納されたり、結婚式などのイベントやお葬式にも作られます。もちろん食用にもされますが、奉納用に作られるときは日持ちがするように塩を多く入れ、ラッカーなどで固められます。

日常的に食べられるコッコイはというと、噛めば噛むほど滋味深~い味わいがあります。

カラザウを焼く様子

どうしてサルデーニャのパン文化がここまで発達したのでしょうか・・・?

サルデーニャは美味しい小麦(主に硬質小麦)が出来る土壌、気候である、というのも大きな要因だと思われます。また、パンは昔からサルデーニャの食卓の基本であり、貧しい中にあっても女性の手で作り上げられる芸術品だったということもあるでしょう。

昔は1週間に一度(保存の効くものは1ヶ月に一度)共同の石釜に持って行き、幾家族かのパンを一緒に焼いており、共同石釜で待つ間、井戸端会議ならぬ石釜端会議が開かれていたそうです(笑)パン作りは大切なコミュニケーションにも役立っていたんですよね。

石釜で焼くパン

昔からパンは幸運を招くシンボルだと思われており、1年の繁栄を願って羊小屋に吊るされるなど一種お守りのようにも扱われて来ました。パンにまつわる諺や教訓というのもたくさんあります。

・パンが焦げると縁起が悪い

・石釜の中でパンが裏返ったら不運の知らせ

・焼いている間にパンが割れたら家族に不幸がある前兆

・パンを地面に投げるな、もし落ちてしまったら拾ってキスをしろ

・テーブルの上に逆さまに置くな、縁起が悪い

などなど・・・。

内陸のヌオーロ地方にはパンの柔らかい真ん中部分は天然酵母を作るために使い、外側の硬い部分は煮て、マカロニのようにソースと合えて食べていた、また、煮ずにそのまま食べると胸が大きくなる、な~んて説もあるそうです。

ともあれ,サルド人(いや、イタリア人全般)にとってパンはなくてはならない大切な糧。毎日食べるものだからこそ、良い素材を使った美味しいものを食べたい、と願うのは当たり前でしょうー。ぜひぜひサルデーニャの美味しいパン、味わいにお越し下さい!(Delizie d'Italiaではパーネカラザウや細工パン作り見学・体験が出来るサルデーニャ滞在のコーディネートを行っています。詳しくはHPをご覧下さい。ご連絡お待ちしております!)

Delizie d'Italia

HP http://www.delizie-italia.com

delizie@delizie-italia.com

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