南イタリア便り No.5
2008年8月公開
保存トマト作り
一昔前までは、南イタリアの大家族の夏の風物詩と言えば、保存用トマトソース作り。夏の間に育った旬のトマトでPassataと呼ばれる濃縮トマトソースを作り、瓶に詰め保存し、倉庫にストックしておけば、一年中いつでも使えるわけだ。
保存トマトソース作りは大人数の家族なら、必ず家族総出で夏の間に大量に作っていたそうだが、コストや 労力を考えると、スーパーで買ってきたほうが早い!ということで、保存トマトを作る家は、ここ南イタリアでも以前に比べ大分少なくなったそう。
確かに、参加してみたらわかるのですが、ものすごい時間と手間がかかります。しかも炎天下の中ガスを使っての作業で、重労働。スーパーで買ってもトマトは安い食材だし、どうしてここまで?と思いましたが、自分で作った保存トマトソースにはやはり思い入れがあるし、夏の間の一番おいしい旬のトマトを、冬クリスマスの料理を作るときに蓋を開けた時の喜びはなんともいえません。遠い夏の思い出がカムバックしてくるし、なんと言っても市販のものと味も香りも違います。
Passata(濃縮トマトソース)はまずトマトをゆでて、皮を剥きします。そして、濾過してソースにし、バジリコの葉をくわえ、瓶詰めして蓋をよく閉めてから、鍋にて加熱する事約2時間で出来上がり。Pelato(ボイルトマト)はゆでたトマトの皮を剥きます。ココまでは同じですが、濾し器でつぶさず、丸い形のまま瓶詰めにし、バジリコの葉をいれ、4時間ほど加熱します。沸騰したお湯から取り出し、常温でゆっくり冷ましていきますが、瓶の 蓋がポン、ポンと鳴りはじめますが、それは密封された証拠です、この音がしないと駄目なんですね。
南イタリアでよく保存トマトに使われる品種は細長いサンマルツァーノ種。こちらは、ナポリのある、カンパーニャ州が一大産地です。またそのままの形を楽しむのと、味のデリケートさが人気のパキーノ種はシチリアのアグリジェント県が一大産地。こちらはPelatoとして最近人気が高い品種です。もちろん、日本の家庭でも瓶詰め保存食トマトは作れますので、興味のある方は試してみてください!
瓶詰めトマトの作り方詳しくは↓